3月下旬である今、決算関係だったり、会議が詰まっている。

とはいえ本社に比べてその忙しさは優しいもの。


休憩ということで通い慣れた休憩場所へと向かうと、先客がいた。



「陽萌!」



その人の笑顔につられて私まで笑顔になる。



「晋ちゃん!」



晋ちゃんに駆け寄って抱きつくと、ギューッと抱きしめ返してくれる晋ちゃん。



「おかえり~っ。」

「ただいまぁあ!」

「陽萌だー。」



最上階から2つ下のこの階には喫煙室や自販機があって、社内きっての休憩場所。

ここに足を運ぶ人も少なくない。


要するに、結構注目されてる。



「…場所を忘れてた。」



苦笑する晋ちゃんに、私は微笑みを返す。


全然変わらない、晋ちゃんだ。

強いて言うなら髪が伸びた。



「増田ちゃんも来るってさ。」



とケータイをチラつかせる晋ちゃん。

そういえば…、2人はどうなったんだろう。


私が大阪に行く前に告白した増田ちゃんは、晋ちゃんに振られた。

でも頑張るって言ってたし…、その関係が変わっていても不思議はないんだけど…。



「ん? どうかした?」



じっと見つめる私に気が付くと、晋ちゃんは首を傾げた。



「……ううん、なんでもない。」