「すぐそこの居酒屋でもいい?」

「うん、私はどこでも!」



晋ちゃんと私の家は反対方向にあって、会社は丁度中間に位置している。

だから晋ちゃんと呑むときは会社周辺が多い。



「そういえばさー、陽萌ひどくない? 専務と常務のこととか僕に何も言ってくれなかったじゃん。」



グッとビールを呑んで、晋ちゃんは不貞腐れたように言った。

そういえば、最近晋ちゃんとにそういう話しなかったもんなあ…。



「ごめんね?」

「まあいいけどさー? 課長に完全に取られた感じでなんか…ね。」

「晋ちゃん…。」

「今日は久々に陽萌独占だからね、楽しんで呑むよー!」



そう言って晋ちゃんは追加のビールを頼んでいた。

私はというと、定番のチューハイをちびちびやっていた。


晋ちゃんみたいなペースで呑んでたらあっという間に潰れちゃうもんね。



「陽萌さ、知ってる?」

「ん?」

「大阪に新しく支社出すんだって。」

「えっ、本当!?」

「そろそろ西日本にも進出らしいよ。」