「肥大型と拡張型の二つに大きく分けられるが、
 治療法は幾つか考えられる。

 肥大型の場合は、心臓のかたさの改善。
 血液の流出障害を軽減して不整脈を予防するためにβ遮断薬(ベータしゃだんやく)などの薬を用いてコントロールを試みる。
 
 薬剤が効かない場合は、心筋の肥大部分を切除する手術を行なったり、ペースメーカーや植え込み型除細動器を埋め込んだりすることになる。

 拡張型の場合は、強心薬・利尿薬・アンギオテンシン変換酵素阻害薬・β遮断薬などの薬剤療法。
 不整脈に関しても抗不整脈薬やペースメーカー、植え込み型除細動器の植え込みが必要になる。

 後は血液を固まりにくくする薬。
 最後の砦は心臓移植」

「心臓移植?」

「あぁ、心臓移植だよ」


紫は岸本医師の話を真剣に聞きながら、
意味ありげに言葉を繰り返すと、ゆっくりと「有難うございました」っと次の瞬間には
頭を下げた。


それに習って、私も彩紫もお辞儀を続ける。



「さぁ行こう。彩紫、紫音。
 今成すべきことが見つかったよ」



そう言うと、紫は私たちをリードするように
保健室を出ていった。



向かう先はただ一つ。



憶測でしかない真実に辿り着く為に。