彩紫と紫音が私と隣を今までどおり歩いてくれるようになってから、
早、一週間。




やはり……三人の絆は深まったものの、
今も私たち三人がテラスに顔を見せると学院生たちの
休息が奪われてしまう現実は残っていて、
私たちは昼休みになると三人で『palais』の中庭で
ランチとティータイムを楽しむようになった。




当初、私と紫綺さまの時間だった昼休みも、
三人の絆を戻してからは、三人だけの時間になった。


それが今では、紫綺さまと草薙さんも共に過ごすようになって、
ちょっとした生徒総会役員のホームパ-ティーの勢いだ。



「紫、今日海神校に行ってきた。

 あそこの生徒は……一番新しくたった校舎で
 男女共学なわけだが……保護者会のほうからは子供たちを
 家から通えるものは通学させて欲しいとの声もあるみたいだ」


彩紫が食事をしながら、海神校の案件を言葉にする。


「……確かに……この山奥の昂耀なら、
 全寮制も仕方ないと思うが悧羅にしろ、海神にしろ
 都市が近い分……そういう意見ももっともだろうな。
 紫、それに関しては一族は何か決めているのか?」


彩紫の言葉に続けるのは紫音。




昼休みのひと時、総会の時間以外でも
自然とこれからの革命の為に想い想いの意見が飛び交う。



「彩紫と紫音の言うとおりだと私も思う。
 だが生憎、一族の中からは何も話は出ていない。

 社長は……現状維持の方向で考えているようだ。

 だが私も……昂耀以外の学生たちは一定期間の過ぎると
 通学も可能にしても良いと思っているよ。

 学院に縛られすぎても生徒の為にはならないだろう」





……そう……全寮制。


一族が、この学院を全寮制にしたのにも
意味がある。




『道を外すモノの誘惑を徹底的に排除する』



意味を持って構築された形であり規則だけど、
今の現状は現実社会からの隔離以外のなにものでもない。



時代と共に、学院の規則も姿を変えていくべきだと思うから。




この閉鎖された世界が生徒たちの思考を
低下させていることが立証できれば、
手段もあるばすなのだろうけど。





「紫、彩紫・紫音。

 先ほどの意見、私も日頃から感じておりました。
 
 紫、あなたがそれをも改革すると言うのであれば、
 あなたが望むデーターを提供しますよ。
 
 
 今も神前悧羅学院生の思考能力の低下については危惧しておりましたので
 研究をしていますよ」



紫綺さまの一言が私に決断させてくれる。