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「それでは神前悧羅学院生徒総会定例会を行います」


議会進行の声が静かに部屋に響いた。



「今日の議題は……」


草薙さんの声を待たずして、
私は静かにその場を立ち上がった。


「最高総?」

「今日は最高総として、この学院を背負うものとして生徒総会役員一人一人に
 問いたいことがあります。

 発言しても宜しいですか?」


議会進行役である草薙さんに発言の断りを得る。




暫くの沈黙。




「最高総依存はありません。
 最高総、直々のお言葉拝聴させて頂きます」

「有難う。草薙議会進行もお座りください」


皆の顔をゆっくりと見回す。


私の隣にはガチガチに緊張した彩紫。


私の言葉を真剣な眼差しで待ち続ける、
幼等部総代・深鏡麗と初等部総代・二階堂静。


何時でも言葉を書き留められるようにと、
ペンを握り締めてその瞬間を待つ中等部総代・羽音柳。



何を言い出すんだとばかりに、
睨みつけるような眼差しで私を見続ける草薙議会進行。



キーボードに、その手を添えながら、
冷めた視線を浴びせる紫音。


そして一番最後に視界に飛び込んできたのは、
優しく見守る……温かい背中を押してくれる紫綺さまの眼差し。


その紫綺さまの髪型も何時しか私と同じ髪型で……。


正直、驚きの色を隠せない。


私が一瞬、戸惑ったような素振りを見せると再び微笑みかけてくれる。


それは少し悪戯をして見つかった後のような微笑で……。



私は紫綺さまに向かってゆっくりと目を伏せる。
紫綺さまもまた私に目を伏せ返してくれる。




……私には最強の味方がいる……。




「最高総として就任から今日まで私はこの学院を見つめなおしてきた。
 
 此処に集う生徒総会の役員に名を連ねる皆様方に訊ねるが、
 皆は我が学院は今の現状で良いと思うか否かそれぞれの意見をうかがいしりたい」



それが私が目指す革命の第一歩。



「最高総からの議題が提示されたが、それぞれの意見はあるか?」



私が質問を終えて着席すると同時に、
草薙議会進行が静かに話を進める。




がっ、誰一人として私の質問に答えるものはいない。




私は静かに手を上げて立ち上がる。



「皆が答えられないようなので率直に私の意見を述べる。
 
 学院の代表たる生徒総会役員。
 
 だが……今の現状で我々は学院の生徒の為に
 尽くせているのであろうか?
 
 私たちがこの場所に隔離される現実を
 皆はどのように感じているのか知りたい」



今の現実こそが改革しなければいけないものなのだと
賛同してくれ。


そこから……私の革命は始まる。