本来なら……入院して安静にするべきだと。


安定している時は良いが、
このまま進行させると心臓移植をしないと生きることが出来なくなると。


このまま急速に悪化を続けた場合は五年持つか
どうかすら保証はないと。



紫綺は……決めた……。



このまま学生として学校生活を送り続ける選択を。


ただ……それだけを望んだ。
オレは……何も言えなかった。


伝えたい想いはある。


だが紫綺の気持ちが痛いほど伝わるオレには、
ただアイツの傍で見守り、アイツを補佐し続ける以外道はない。



オレは絶対に認めない。





紫と彩紫が……紫綺が認めた、
神前に風を吹き入れるものだとしても紫綺が学院の為に、
その命を削り続けていることをオレが一番良く知っているから。





オレは何時だってアイツの最後の砦。





それがオレの生きる意味。
オレの全て……。



*


『おとうさま、しきは……しれんといっしょにいたいです。
 しきは……しれんとはなれません』


*



幼いアイツとの誓約。




紫綺がオレを必要とし続ける限りは、
オレはアイツの従で在り続ける。



古からの誓いのように。