ふと梨李芽がなにか思いついた様子で走り出した。
みんなは唖然としていた。
ようやくカミーが絞り出した言葉は

「とりあえず、梨李芽と桃愛の会話聞こう。
一応樹悸くん詩菴くんのとこいってくれない?」

というものだった。

「ん、了解。」



~その頃~
梨李芽は方向音痴な桃愛はエレベーターの近くの入口しか見つけられないだろう。とそこに向かっていた。
入口についてあたりを見回すと、予想通り桃愛がいた。
少し元気がない桃愛に梨李芽は声をかけた。

「どうしたの?」

と優しい声で問う。

「やっぱり、私なんかじゃ詩菴とは釣り合わないよ。
詩菴、『その服似合わねー』って...」

そう話した桃愛の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。

(桃愛はそんなに詩菴のこと思ってるんだ...)

そう実感していた梨李芽に樹悸からメールが来た。


~~
「あ、詩菴じゃん。さっきまで花籠といたのに、どうした?」

と樹悸は詩菴に聞く。

「俺、馬鹿だ。桃愛にその服似合わねーって言っちまった。本当は桃愛にはもっと可愛いのが似合うって言いたかったのに。誤解されちまった。」

そして樹悸は梨李芽にメールを送った。


~~
梨李芽は樹悸から来たメールの内容を桃愛に話した。

「ほんとに?私それ、信じていいの?」

「樹悸と詩菴仲いいでしょ。絶対そうだよ。」

そう言った梨李芽は桃愛を優しく抱きしめて話を続けた。

「ねぇ、今言わなくて後悔していいの?
 振られて後悔するのと言わなくて後悔するのどっちがいい?
 僕はいっぱいあるよ。言わなくて後悔したこと。いっぱい。
 もも?」

沈黙。だがそれは長く続かなかった。桃愛は決意して言った。

「告る!」

「ん、よし!」

そう言って梨李芽は微笑み、桃愛とフードコートまで向かった。
さっきの席には詩菴が座っている姿がみえた。

「ほら、いってこい!」

そんな梨李芽の言葉に桃愛は強く頷き、詩菴の向かいに座り、言った