『桃愛!』

その声の主は2人の寮部屋のなかの1人である、
花籠 桃愛(はなかご ももあ)
だった。

「もう、驚いたー。なんでハモるの~?笑」

3人仲良く部屋に入るとシーンとしていた。
梨李芽が電気をつけると優しい光が部屋を照らした。

「あれ?まだ帰ってきてないんだね」

「あぁ~、“アレ”なら先生と話してたよ。今日日直だったみたい。」

桜湖の問いに桃愛が答える。

「日誌持ってって捕まったか。」

なんていう梨李芽の言葉に笑いながら、少し4人では広めの部屋にカバンを置く。
4人の部屋は二段ベッドと4人で勉強したらちょっと狭いかな~ぐらいの大きさの机しか置いてないため、広く感じる。

「聞いてよー、今日宿題めっちゃ多いんやて。」

涙ながらに話す桃愛に2人ともピンときたらしく、

「あぁ、ゴリゴリくんね」

「ゴリゴリくんか」

と肩をすくめて言った。
ゴリゴリくんとは4人のクラスの担任だ。本名は藤岡 和也(ふじおか かずなり)
という。
その風貌がゴリr(略 に似ていることから生徒たちからそう呼ばれている。
桃愛は授業中寝ていたため、2人より宿題が多い。
宿題を始め、最初の5分か10分くらいはシャーペンを走らせるカリカリという音が聞こえたが、しばらくすると3つの音がすべて止まった。

「あぁーもーむりー」

1番はじめにそう言った梨李芽はそのまま続けた。

「よし、恋ばなしよ。」

ほかの2人はえー。とか言いながらもベッドの上に座り恋バナを始めた。

「もぉ、樹悸かっこよすぎッ!」

「てかさ、あたし今日はじめて知ったんだけど、桃愛知ってた?」

「私はちょっと前に梨李芽が出かけた時に聞いて教えてもらったよ」

「だってさーいうのハズいやん?笑」

「はいはい、そんなガラじゃないでしょ」

そう言った桜湖に桃愛も頷く。

「ひっで笑 で?ももは?さくは?」

一瞬の沈黙。それを取り繕うように桃愛がいう。

「それより、テストどうだった?!!
私はなんと!169!まいったか~」

「うん、悪い意味でね。ちなみにそれ、僕よりも樹悸よりも下だから。」

「嘘だッ!」

「で?もーもちゃん?詩菴とはどうなの?」

それた話を梨李芽が元にもどす。
ちなみに、詩菴とは桃愛が片想い中の相手成宮 詩菴(なりみや しあん)のことだ。

「仲良くやってますよ。」

「キャーーひゅーひゅー」

...そんな話から宿題とは程遠くどんどん別の話に。

「夜ご飯なにがいい?」

「グラタン!」

「カレー」

「焼きそば!!!」

一際おおきな四つ目の声に3人が振り向くと...