それから数日。

コツン、コツン。長い廊下に靴の音が響き渡る。

嫌な気配を感じたカミーは歩くのをやめた。

自分の前に立ちはだかった男に

「どうも。」

と口も動かさずに言った。

そいつは彩人だった。

カミーは“あの日”すべてが終わったあと、彩人に言った。

「正直、あんたみたいなプレイボーイに興味はない。ただもう、桃愛には近づかないで。今日のは全部桃愛を守るため。自分の体1つであなたが桃愛に手を出さなくなるなら、それでいい。もうやめて。」

と。それを思いだし、「チッ」と舌打ちすると、カミーはさっきより歩調を早め、彩人を避けようとした。

そんなかミーに再度囁きかける。


「カミーちゃんって、俺のこと“プレイボーイ”っていったけど、
“ Play Boy ”の正確な意味、君ならわかるよね?」


なにか言おうとしたカミーの唇を彩人は艶かしくふさいだ。

「...んっ、ふっ」

声をだそうと必死になっているカミーだが、声は出ない。

さらには、開いた口から彩人の舌が入ってくる。

動こうとしたら、壁に押し付けられた。
このままだと、まずい。

さすがのカミーでも相手は男。力ずくでは勝てるはずがない。




――思考回路が停止する。

ついにカミーは彩人に身をゆだねてしまった。