ぐらりときた。


(桜湖と詩菴が抱き合ってる?!キスしてる?!!なんで?なんでよ)


物陰から梨李芽とあやめが出てきた。


「少しは...頭冷めた?」


黙りこくるあやめと、冷めた表情で言う梨李芽。

桃愛は状況が全く理解できず

「あのふたりは...」

そう言って涙をこぼし、立ち尽くすことしかできなかった。



しばらく泣いていた桃愛だったが少し落ち着くと、梨李芽とあやめに話を聞いた。

「どうしてあの二人が?私もう、嫌われちゃったの?」


「違うよ。」

無表情で言う梨李芽と、すべてを説明するあやめ。

すべてを説明し終えたあと、あやめはいった。

「ももは詩菴が好きなんじゃないの?」

「好きだよ」

「じゃあ、なんで彩人にあんな顔してるの?」

「...最近詩菴が冷たかったから、少しは妬いてくれるかなって。」

そういう桃愛の顔の裏にはなにかが隠されていそうだった。


そして、梨李芽は終始黙っていた。
あやめは不思議に思ったが、梨李芽は怒ってるのかと思い、そっとしておいた。