―...ゾクリ。
不気味にカラスが鳴き始める。

そんな夕方。

「ねぇ、どうしよう...」

そう言ったのはあやめ。

「ここは、あたしたちが体をはってどうにかするしか...」

と桜湖が言った。

ここは楓部屋。桃愛は部活でいないが、梨李芽、桜湖、あやめ、カミーの4人が集まっていた。4人は最近の桃愛の様子について話し合っていた。

桃愛は筆箱を拾ってもらった“あの”出来事があってから変に彩人を意識するようになった。

授業中はぼーっとしていて、彩人が話しかける度に、明るい顔をしてそれに応えた。

だからこのままではいけない、桃愛は詩菴のものだ、ということで4人は話し合っている。

しばらくは「う~ん」と考えていたが突然カミーは言った。

「作戦、思いついた。」

それは、

①あやめと梨李芽が桃愛を体育館裏に呼ぶ。
②体育館の中では桜湖が詩菴にいきなり接近。とにかくくっつく。
③②を桃愛が見る。

というものだった。

多分これはうまくいく。

だが、問題は彩人がまた桃愛に寄り付いてこないかが心配だった。

「彩人は今彼女がいないからいろんな人にかまをかけている、ということだったな...
じゃあ...彼女がいれば...か。よし。」

そうつぶやいたカミーの目はいつになく険しかった。

「じゃあ、あとのことは任せて。すべてあした決行しよう。」

今度は全員に聞こえる声で言った。

なにか波乱の予感がした。