~キーンコーンカーンコーン~


椿高等学校では普段ならないチャイムが久々に鳴り響く。

今日は特別“期末テスト”のため、聞きなれない音がなっている。

「よ~し、はじめるぞ~」

という教師の声により、教室は静寂に包まれる。


カリカリ...カリカリ...

~キーンコーンカーンコーン~

終業のチャイムからほぼノータイムで

「あ゛あ゛~~終わっだ~~」

という梨李芽の声が響く。
それを合図に教室はざわめきを取り戻す。

そして、うだうだと帰りの準備をし始める。


いつもと変わらない。

いつもと違うのは、部活がないからカップル4組+カミーの9人で一緒に下校できるということだ。


いつもどおり、いや、いつもより少し大人数で教室をでると、カバンのチャックが開いていたのか、桃愛の筆箱が落ちる。

「はい^^」

筆箱を取ろうと伸ばした手に、桃愛の筆箱が差だされる。

「ありが...」

お礼を言おうと差し出した手の人物を見た。

それは誰だかわからない男だった。

「彩人?!」

そう驚いたように言ったのは羅那。

「?羅那知り合い?」

と桜湖が問う。

「知り合いも何も同級生、同クラ、同班だよ。」

「へぇ~」

まぁ他の人にとってみたら、たくさん先輩がいる中の一人。

特に“彩人(あやと)先輩”と関わる機会なんてそうそうない。

興味がないわけだ笑


「あ、彩人先輩!ありがとうございますッ」

と言った桃愛の表情はなんだか嬉しそうだった。