~プロローグ~

朝は日の出を祝うように水面をちらつかせ

昼は穏やかに波をつくり、人々をじっと見つめる。

夜は静かに月光を浴び、薄れゆく人々を静かに追う。



しかし



いつも穏やかな波はずっと続くとは限らない。






“その波は時に荒れ狂う。”





女神の口元が怪しくゆがむ。

同時にカラスが闇へと飛び立つ。

カラスの眼は声にならない雄叫びをあげる波を見て、その羽を伸ばす。

その目は黒真珠のようにどこまでも漆黒の闇が続いていた。