「なあ、奏……」

「何でもないって!早く帰ろう…」

俺の言葉を遮って、振り向いてきた彼女の瞳は
真っ赤で今にも泣きそうな顔をしている。

そんな姿に、我慢できなくなって
前を歩く奏を後ろから強く抱きしめた。

「きゃ!ゆ…う…?」

「なあ、俺じゃ駄目?」