花火が打ち上がる時間になり、
夜空には大きくて綺麗な花が咲いている。

「綺麗だねー!!!」
なんて、笑顔で俺に言いながらも
誰かをキョロキョロと探している。

橘先輩を探してるんだろう。

その浴衣も、髪の毛もメイクも、繋いだこの手も…
本当は全部先輩相手がいいのだろう。

花火に目をキラキラさせる奏の横顔を
俺は、見つめていた。