折角、浴衣を着たのに優は一言も触れてくれない。

…やっぱり似合ってないのかな…
そう思いながらも、少し不機嫌に優の前を歩いた。

あまりにも優が歩くのが遅いので、振り返ってみると
優は一人でクスクス笑ってる。

「何で、一人で笑ってんの?そんなに浴衣が変かな。先輩に会いたくないな…」

心は沈み重い足どりで、河川敷へ向かう。

本当に、最悪。早く帰りたいな……

そんな事を考えていると涙が流れそうになり
着いてもいないのに、帰りたい気持ちでいっぱいだった。