僕のとなりは、君だけ。

「思ったよりも小さくて奏ちゃん、小動物みたい。笑」

そう言って、先輩は奏の頭に触れた。

奏は照れて顔を伏せている。
その顔は、俺が見たこともない俺にはさせてあげられない表情だった。

遠くで俺を見つけた、奏は我に返ったかの様に

「優ー!帰ろうよ!!」
と、小さな体で大きく手を振ってきた。

「じゃあね、奏ちゃん。」

「失礼します。」
校門を出て行く先輩の後ろ姿を、恋しそうに奏は見つめている。