退屈な数学の時間。

この時間、奏はずっと外を眺めている。
そう、好きな人を見つめてるんだ。

「彼女になりたいなあ…」
消えそうな声で、奏がなんとなく呟いた事も俺の耳に入ってくる。

俺の方がずっとずっと好きなのに。
俺の方がずっとずっと奏だけを見つめてきたのに。

叶わない恋心に、苦しさを覚えながらも
先輩を見つめる瞳が、横顔が可愛くてまた好きになる。
先輩を見つめてニヤニヤしている表情は、俺に対して見せる表情とは別格なんだ。

はー、なんで叶わない恋なんてしているのだろう。