放課後、人が少ない階段をおりる
「はあ…私何やってんだろ」

ため息をつきながら歩くと、
「これ…落としましたよ」

腕を掴まれ、学年証を渡される。

「あ、サッカー部の…」
見たことがある顔だった。
確か、夏休みの試合の時に優に
忘れ物を届けてくれた…

頭をフル回転させ名前を思い出していると
「…ありがとうは?」

「はあ!?」
目の前の男の子から出た言葉に驚く

私の反応を無視し、彼は続ける。
「あ、お礼は俺も今から帰るから一緒に帰ってよ!それでいいから」

と言ってスタスタと歩いて行ってしまった。