広瀬の驚いた顔で我に返り

「ごめん、マネージャー!俺の八つ当たり!」
と言うと、広瀬は顔を手で覆いしゃがみ込んでしまった。

「おい、泣くなよ。本当にごめんな?」

「……せ…」

「ん?」

「私の名前は!広瀬です。マネージャーじゃないです…」

泣きながら広瀬が俺に言う。
「私、分かってました。先輩がずっと佐野先輩を好きな事を…頑張っても先輩は私なんて好きにならないって…」

「そんな事ねえよ…」

「違うんです!先輩は、一度も私の事を名前で呼んでくれませんでした。…自転車の後ろにも乗せてくれませんでした…」

広瀬の言葉に俺は何も返せなかった。