聞き捨てならなかったので、真示はその場で口づけをした。涼葉は目を開けたり閉じたりすることが精一杯だった。
 口づけが終わってから、涼葉は自分の唇を手で覆って、黙り込んだ。

「キスをしているとき、忙しそうだったな」
「いきなりされたら驚きますよ!何を考えているのですか!?」
「お前とキスをしたかったからな。俺が誰を想っていたのか、どこかの誰かさんはこれっぽっちも気づかないから」
「想って・・・・・・ふ、ふあ?」

 涼葉も大学生になっているのだから、日本語くらいしっかり話してほしかった。

「真示先輩、私のことを好きだったのですか?」
「そうでなかったら、一緒にいない」
「そうですよね・・・・・・」