「…そうだな。まずはこれを返す」



専務は私に小銭を握らせる。



手の平の中には100円玉3枚と50円が1枚…合計350円。



「お前が利子を付けると言うなら…上乗せするが…」



「私…専務にお金を貸した憶えないんですが…」



「俺たちは19年前に会っている…俺は母と一緒にお前の父親が店主を務めるラーメン店に入った。でも、金が足りなくて…俺はお前から350円借りたんだ」




専務の言葉で私の脳裏に光景が蘇った。


専務があの冬の寒い日に来た…