「緊張なんかするはずないだろう。むしろ呆れているんだ。」
「まぁまぁ、合コンに呆れるな。結構いいもんだぞ?」
「いや、合コンに呆れてるんじゃない。合コンに溺れてる貴方に呆れてるんです。」
「違うんだ。これは溺れてるんじゃなくて、必死な妻探しだ。この歳でまだ結婚してないのは焦るだろう?」
「いいえ。断然いない方が楽じゃないですか。僕は束縛嫌いなんで。」
「ははっ。君はいつもクールだよな。俺はもうお手上げだ。」
そう言うと、渡辺はぽっこりとした腹を掻きながら店に入っていった。
片野は渡邉の大きい背中の後について行った。
