『来週の土曜』というのは本当にあっという間で、ついに当日になってしまった。
今は午後二時。
空は眩しい程に晴れている。
雨女は嘘だと片野は再確認した。
その頃はもう待ち合わせの時間。 片野はレストランの前に立っていた。
何か変な緊張感がある。
店の中に渡邉が居そうな気がしたからだ。
片野は思いきって、店のドアノブに手を掛けた。
その瞬間、
「あの...片野さんですよね?」
桜色のワンピースを着た女性が、背を向けた彼の肩を軽く叩いた。
「高木さん...?」
片野はキョトンとした顔で後ろを振り向いた。
すると、やっぱり高木だった。
