片野が声のした方を向くと…
あの雨女とやらと言っていた、ボサ髪の女だった。
「なんだ。引きと止めようっていうのか。」
「いえ、違います。私も店…出ようかと。」
「でも君は今さっき来たばっかりだ。ここで思う存分楽しむがいい。」
「いいんです。私、片野さんとお話したいことがあって…」
片野は少しならと店を出た。
「じゃあ、三分ぐらいで済ませてもらえますね。僕長話苦手なんで。」
「あ、はい。えっと…」
「何なんですか。用が無いなら僕もう行きますよ?雨も降ってますし。」
「待ってください!…あの、今度良かったら食事…どうですか?」
