しばらく今日のこと、これからのことなどについて話していると、南が思い出したように言った。

「ねぇ穂乃花、今日入学式の時に見たんだけど、二年にすっごくイケメンの先輩がいたの!クラスの子に聞いたらその人『神崎先輩』って言うんだって!教えてもらったー!結構有名らしいよ」


「ふーん。そうなんだ?てか南彼氏いるじゃん。浮気はだめだよ~?」


「ちょっと、真面目に聞いてよ!
拓也《タクヤ》のことなら大丈夫。先輩は目の保養的な感じで恋愛感情はないから」

「あはっ、ならいいけど。」

南には中学の頃からの彼氏がいる。
ちょっとうらやましいとは思いながらも穂乃花は、あまり男子に興味はなかった。

だからそのときは、自分が近い未来に神埼先輩に好意を寄せることになるなんて思いもしなかった。