穂乃花は熱くなった頬を冷ますように、目を閉じて風を感じた。

その様子を目を細めて見つめる煉。

目を開けて穂乃花は話し掛けた。

「先輩、そう言えば────……。」

「あぁ。─……」




しばらくすると、いつものように煉先輩は練習を始めた。穂乃花も机にむかう。

横目に先輩の姿を追う穂乃花。

(私、なんで先輩と毎日お話出来ているんだろう…。)

今までずっと先輩の後ろ姿だけみてきた。

ひとりこっそり毎日練習していた先輩。

今は先輩の後ろ姿だけではなく、向かい合って話すことが出来ている。