「おはよう」

「あっ、おはようございます!煉先輩。」

今日も穂乃花は先輩と窓越しに話をする。

ここ最近の日課だ。

「先輩今日もはやいですね」

「穂乃花こそ。よく毎日こんなはやくから勉強なんて出来るな」


煉先輩との朝のひとときは、穂乃花にとって、かけがえのないものとなっていた。

口数の少ない先輩だが、沈黙が気まずいわけではない。

言葉少なに交わされる会話に心が踊る。

心地よい初夏の風が、二人の間を駆け抜けた。