神埼先輩のシュートを決めた後の喜んだ顔に目を奪われていた穂乃花は、歓声をきき、静かにその場を離れた。
なぜだか苛立っていた。彼を天才だと呼ぶ人たちに対して。
確かに彼のプレーは素晴らしかった。素人の穂乃花でもわかる周りとのレベルの違い。
だがそれを、『天才』の一言ですませてしまうみんなに、怒りがおさまらなかった。
(どうしてこんなにも苛立ってしまうの?
別に先輩がなんと言われようと私には関係ないのに……)
穂乃花は自分の心境に戸惑っていた。
認めたくなかったのかもしれない。無意識に神埼先輩に惹かれてしまう心を。
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