ーーひと月後ーー


穂乃花は第二図書室にいた。

もう桜の花びらは散り、新緑の葉が生え始めたこの時期、学校にも慣れ始めた穂乃花は毎日朝早くに第二図書室で勉強していた。

この第二図書室は校舎の片隅にある古い教室だ。

新しい第一図書室が数年前に出来たために、もうここはほとんど使われていない。

そのため穂乃花の勉強場所となっていた。


「よし、今日もがんばろっと!」

穂乃花は気合いを入れて机に向かう。

暖かい日差しのさす、窓際が穂乃花のお気に入りの場所だ。

穂乃花の家はあまり裕福でない。
だから毎回のテストでで学年一位となって、奨学金をもらわなければならないのだ。