(南すごいな。あっという間にみんなの人気者だ。)

南と違って初対面の人とすぐに打ち解けることができない穂乃花は南に尊敬の眼差しを送った。


それに気付いた南は穂乃花にウィンクする。

「がんばんなさい、穂乃花!笑顔でニコッてやれば穂乃花ならだいじょぶよ。」

「う、うん。」


その間にも次々に名前が呼ばれ、穂乃花の番になった。

「出席番号20番、橘穂乃花」

穂乃花は立ち上がると喋りだした。

「橘穂乃花です。好きな教科は音楽と国語、苦手な教科は理科です。音楽を聴いたりするのが好きです。よろしくお願いします!」

最後ににっこりと笑って席につくと、穂乃花は大きく息を吐いた。

「良かったよ、穂乃花。うまくいったじゃない。」

南が小声で褒めてくれた。

穂乃花ははにかむと小さく頷き返した。


そんな表情をみて男子たちが一斉に顔をあかくしていたとも知らずに。