黄昏に香る音色

恵子の話が終わると、

明日香は、店を出た。

もう8時前だ。

決して明るいとは、言えない道を、駅まで降りていく。

昔は、本当の山道だったけど、最近はKKより上に、住宅が建ち並ぶようになり、街灯は多い。

駅までは歩いて、3分くらいだ。

階段を降り、改札を通ると、

里美がいた。

驚く明日香に、里美は手をあげ、

よっと、1言発した。

「里美!?どおして、ここに!用があって、帰ったんじゃ…」

「うん。でも…もう終ったから…」

里美は俯き加減で、

歩き出す。

でも、昨日と違い…どこか嬉しそうだ。

「何か、いいことあった?」

明日香は、里美の顔を覗き込んだ。

ちょっとにやけている。

あまり見られるのが、嫌みたいで、早足になる。

「いいことあったな」

里美の足が、止まる。

「何?」

明日香も、嬉しくなってきた。

チラッと明日香を見ると、

里美はまた、歩き出した。

ホームにでる。

タイミングよく、電車が入ってきた。

ドアが開き、2人は飛び乗った。

ドアが締まると、里美はドアにもたれかかる。

そして、またクスッと笑う。

「勿体ぶらないでよ」

里美は、明日香に、嬉しそうな笑顔を向けた。