黄昏に香る音色

カラオケの代わりが終わり、拍手が、観客から起こる。

恵子もステージを降りるお客の方を向きながら、拍手した。

「だけど…明日香ちゃん。あなたが来た。あたしが、忘れてた…忘れようとしてた…音を持って。あなたは、言ってくれたわね。あたしの歌が、好きだって…。とっても嬉しかったわ」

明日香に、顔を戻した恵子は、涙ぐんでいた。

「ママ…」

明日香も、泣いていた。

「あなたに、出会えて…あたしは再び…音楽に、向き合えるようになったの。あなたのお陰よ。本当に、ありがとう」

恵子は、お客に見られないように、涙を拭うと、

明日香の涙も、ハンカチで拭いてあげた。

「お互い…泣き虫は、禁止よ。女の涙は、めったに見せない…武器なんだからね」

恵子は、明日香にウィンクした。