黄昏に香る音色

店が、一段落つくと、

恵子は、明日香の前に戻ってきた。

「ごめんね。明日香ちゃん」

「あたしこそ…変なことをきいてしまって…」

明日香は、頭を下げた。

「いいのよ。謝らなくて」

恵子は微笑み…煙草に、火をつけようとしたけど、

お客がいることを、思い出して、やめた。

恵子は、明日香の中身がなくなったグラスに、オレンジジュースを注ぐと、

徐に、ステージ上の阿部を見つめながら、話し出した。

「健司は…あたしに、音楽を…歌うことを、教えてくれた人。そして…あたしの旦那だった人よ」