黄昏に香る音色

しばらく、話すことがなくなり、沈黙が続く。

明日香は、自分から積極的話すタイプではない。

だけど、話すことにした。

少し雰囲気を変えたかった。

「ゆうくん…ゆうさんは、何年何組ですか?」

明日香は名前以外…ゆうのことを知らなかった。

明日香の質問に、ゆうは目を瞑り、

「明日香さんより、少し上だよ」

ゆうはこたえた。

「3年生ですか?」

「それが近い…」

ゆうは、今思わず口に出た言葉に、自傷気味に笑った。

明日香は、そんな笑いに気付かず、

「じゃあ…やっぱり、ゆうさん…ゆうやさんがいいのかな?」

真剣に悩む明日香が、かわいくて、

ゆうの表情が和らぐ。

「ゆうでいいよ」

「え、でも…」

「好きな女の子に、だったら、呼び捨てがいい」

「え」

明日香の時が、止まる。

ゆうは、まっすぐ明日香を見つめながら、

「好きだよ。明日香さん」

ゆうの顔が、やさしい笑顔でいっぱいになる。