朝は、来た。

あまり眠れなかった夜。

いつもより早く、家をでたのは、

里美と会う為だった。


明日香が、電車を降りるとちょうど、

里美が、改札を出るところだった。

里美は、一本早い電車に乗ってきていた。

何でも、少し早く通学する癖をつけておくと、ちょっと寝過ごしても、遅刻しないかららしい。

里美流の遅刻防止策だった。

「里美!」

明日香はかけ寄り、改札をでると、里美のそばまで行き、おはようと明るく声をかけた。

一応…

おはようと返ってくる。


朝は、電車の往来が激しい。

すぐに、踏み切りがしまる。

明日香は、ここぞとばかりに、畳み掛けるように、昨日のKKでのことを話した。

いきなり、新曲であたふたしたこと。

いつもなら、笑いながらきいてくれるのに、

反応がない。

すぐに、話すことがなくなり、2人は黙り込む。

踏み切りが開いた。

人混みと車とともに、歩きだす2人。

「昨日のことは気にしないで。すべてうそだから」

踏切を渡る途中、いきなり里美が、話し出した。

明日香は、里美の横顔を見た。

明日香の方は、見ていない。

「あたしこそ、ごめんなさい!あのね、里美…誤解してるよ」