明日香は初めて知った。

里美の気持ちを。

そして、誤解していることを。

あたしは…誰も好きじゃない…。

誰も。


そう思ったとき、

心の奥が痛んだ。

明日香は、胸を押さえた。


あたしは、

高橋君のことは好きじゃない…。



「香月さん!」

1人ホームの端で、立ち尽くす明日香に、

誰かが後ろから、声をかけてきた。

明日香は振り返った。

そこにいたのは、優一だった。