ダブルケイをでて、山道を5分ほど上がると、

小さな墓地があった。

そこに、恵子は眠っていた。

明日香は毎朝、ダブルケイにいるときは、墓に挨拶に来ていた。

手を合わせた後、明日香は呟いた。

「ママの事だから、多分こう言うわね…」

明日香は微笑んだ。

「毎日来なくていいのにって」



しばらくして、明日香は苦笑した。

振り返り、

町側を見ると、数多くの人口物が広がっていた。

昔は、空襲で何もなかったというけど、今は…

みんな、頑張ったのだ。


後ろを振り返ると、広大な緑が広がっていた。

自然と人口の狭間に、ダブルケイはある。

それは、

恵子が意識していたのかもしれない。

狭間で奏でる音楽。

左下には新興住宅地が広がり、

ダブルケイのメインのお客さんは、その辺りから来ていた。

明日香は、恵子に敬礼すると、

店へと下りて行った。