ストレートで、流れる川のように、きらきらと輝く髪をなびかせて、

速水恵子は、歩いていた。

高校は、もうすぐ卒業する。

大学進学も決まっていた。

日本は、好景気を迎え、

もうすぐバブルという…夢より、お金が有り余る時代を迎えようとしていた。

音楽は、打ち込みの機械的な音が流行り、


ロックなど、生音が古いとされ、

シンセサイザーなどの音が、未来的だと言われ、フュージョンという音楽も流行っていた。

何となくや曖昧…。

限り無く透明に近いなど…

その曖昧さこそが、未来だったのかもしれない。


恵子もまた…何となく、生きている者の1人だった。

ワイワイ騒ぐ癖に、熱くなることがダサい。

何となく生きていても、

世の中は上向きで、

働く所も、いっぱいあった。

でも何となく…何となくは嫌だから、

自分を持とうとしたけど、

浮かれた世の中は、

楽しげに、誘惑だけを振りまいていた。

誰もが、このままでいられる…

幻想だけ持っていた…

あの頃。

18歳の恵子には、時の過ぎ行く日々など、

気にしては、いなかった。