恵子は、もう一度明日香を抱きしめ、

「どんなことがあっても…あたしはただ、歌ってるだけと言えるあなたは、本当の歌手よ」

恵子は、幸せだった。

「捨てる必要もない…背負う重さも、苦痛に感じない…明日香ちゃんの優しさは、とても大きいのね」

「優しくなんてないです…ママの方がずっと優しい…」

明日香のすべてが、

恵子には愛しい。


「見せつけてやりなさい。何かを捨てたり、背負わなければ、歌えないという奴らに!日本人は、歌えないという者たちに、あなたのまっすぐで…素直な優しさを」


恵子の言葉。

それは明日香の中で、

永遠に大切な言葉となる。