黄昏に香る音色

今日は、土曜日だったから、夕方までみっちり練習が出来た。

音楽祭まで、後一週間。

夕焼けの中、明日香と里美は歩いていた。

里美は足をとめ、明日香に言った。

「ベンチいこうか」

少し驚いたが、明日香は頷いた。

いつも昼休みに、つかうベンチ。

2人して座ると、

里美がおもむろに…話し出した。


「あたしがさあ…高橋君とつきあってた時…あんまり、明日香と話さないとき、あったでしょ」

明日香は頷く。

「あたし知ってたんだ。高橋君が、本当は…あんたのことが好きなんだって…。それなのに、あんたときたら、あたしの知らない男と仲良くしてるっていうじゃない。あたしは、好きにもなって貰えないのに、あんたは!」

里美は、足元の石を蹴った。

「くやしくて、むかついて…1度、渡り廊下にいこうとしたのよ。階段を上がりかけて…あんたの顔が見えた。残念だけど、相手の顔は、見えなかったけどね」

里美は、明日香を見た。


向こうに、夕日が見えた。

里美は微笑む。

「綺麗だったよ。明日香」

「え?」

里美は、照れたように視線を外し、

「夕陽に照らされて、幸せそうなあんたが、とっても綺麗で…。ああ、高橋君が惚れても、仕方ないやと思った」