明日香の吹く音の後ろで、

細かいブラッシングを、里美がいれていた。

明日香と里美だけの音。

そして、

有名なブレイクにはいる直前に、

誰かが、ステージに上がった。

明日香と音を合わすように入り、音を爆発させた。

まるで

狼の遠吠えみたいに。

啓介だった。

驚く明日香を見ずに、

演奏は、啓介主体に変わり、バンドも演奏に加わわる。

啓介の熱いソロの後、

明日香が、慌ててミュートをトランペットに差し込むと…息を整え、静かに、エンディングのフレーズを吹くと 、

さらに、啓介のサックスの音が、明日香に絡んでくる。

ホットなサックスに、クールなやトランペット。

明日香は、

昨日とはちがう意味で、

震えていた。