黄昏に香る音色

ライト・オフ。

マイルス・ディビスが創ったロックの名曲。

発表から、30年以上たっても、未だにジャズロックバンドが、クラブのジャムでよく演奏している。

お望みならば、最高のロックグループをつくってやる。

ジャズトランペッターだった彼が放った…その言葉を、裏付けるように、発表したこの曲は、

ジミーヘンドリックスにも影響を与えた。

「原田くんは休んで!」

恵子はそう言うと、

ステージ横から、ギターを取り出し、

アンプに繋ぐと、ギターを抱え、ステージに上がる。

恵子のカッテングを主体にしたギターが、鳴り響く。

「ママ…」

トランペットを持ったまま、…唖然としている明日香に、

「ぼおっといない!リズムに乗って、吹いて!」

恵子の声に、

明日香は、恐る恐るトランペットを構える。


「ドラムを感じて…乗りなさい!トランペットを意識しないで!リズムだけ、感じなさい」

明日香は目を閉じると、

トランペットを吹く。

リズムを感じる…。

周りの音にだけ、集中していると、

少しつづ…明日香に見えてきた。


リズムの道が。