黄昏に香る音色

スカートの為、叩きにくそうだったが、

叩いたら、音がでるドラムに、里美は夢中になる。

お陰で、明日香の練習する時間がなくなった。

少し不満げな明日香に、

恵子は、オレンジジュースを手渡す。

「明日香ちゃんは…そろそろ、ここ以外で、歌わなきゃならないわね」

「え?」

「歌手は、人前で歌って成長するの。ここは、常連が多いから…みんな、明日香ちゃんに甘いしね」

恵子は、タバコに火をつけた。

「でも…もうちょっと先の話ね」

タバコを深く吸い込むと、

一気に、灰皿にねじ込んだ。

もう七時。

KKの営業が始まる。