Midnight Blue。

この国は、夜さえ明るく、

ほんのり淡いブルー。

真っ暗な夜なんて、あるのかしら。

夕焼けを、追いやった夜の中、

香月明日香は、ネオンに飾られた街並みを、歩いていた。

学校から一旦、家に帰ると、デニムのパンツに着替え…明日香は、市で一番栄えている街の中心部に、向かった。

音楽を教えて貰っている…ママの息子であるサックス奏者のライブを、見に行く為に。

演奏は、店で聴いたことはあったけど、

内と外では、違うらしい。

繁華街から、少し離れた雑居ビルの地下。

階段を降り、ライブハウスの扉を開けた時、

明日香は、新たな運命と出会うことになる。

咲き誇る薔薇のように美しく、

散りゆく桜のように潔い…一人の女に。


河野和美。

もう一人のK。