「お前に、憎まれている方が…俺の力になる」

健司は、店内を見回した。

「この店…そして、お前」

健司は、恵子を見つめた。

最後の視線…。

「すべてを捨てないと…俺は…あそこに、たどり着けない」

健司は、扉の向こうへ歩き出した。

もう…恵子を見ることはない。

扉の向こう…

理恵のもとへ。

静かに閉まる扉。

残されたトランペットに、

残された女…。

今…

タブルケイは、一人になった。