それでも、嬉しい。

にこにこしながら、手摺りに頬杖をつき、鼻歌混じりに、渡り廊下から、グラウンドわ眺めるあたしを、

気持ち悪そうに麻美が、見ていた。

「あんたって…わかりやすいよね」

麻美の呆れたような言い方に、

「そお?」

そっけなく言葉を返すと、あたしは身を乗り出した。

「よし!」

グラウンド上で、ゆうがゴールを決めたのだ。

今日は、部活内で試合をしているようだった。

妙にはしゃぐあたしに、麻美は頭を抱え、

「ストーカー……ここに極まるだ」

遠く離れているが、

明らかに、ゆうを応援していることが、はたから見てもわかる。

麻美は手摺りにもたれ、ため息混じりにきいた。

「何かあった?もしかして…進展したとか?」

麻美の質問に、力強くあたしは、頷き、

グラウンドのゆうを見つめながら………

「挨拶した!」



「あ、挨拶?」

「うん。おはようって!」



しばしの間を開けて、

「そんな程度ね…」

麻美はまた、ため息をついた。


「そんな程度って…」

あたしは、遠くのゆうを見つめながら、呟いた。

「凄いことだよ」

そして、深く頷き、ゆうの応援に撤した。