黄昏に香る音色

「それって…軽いストーカーだろ?」

麻美は肩をすくめ、

「もっと近くに言って、応援しろよ」


「は、恥ずかしいよ〜!」

近くにいって、応援するなんて、できるわけがない。

夕焼けのオレンジの光に紛れて、あたしは、ただ彼を見ていただけだ。

あたしの存在は知ってほしいけど、

アピールまではしたくなかった。

うざい女と思われたくない。

夕陽が沈む…わずかな時間だけ。あたしは、彼を見ようと決めていた。

夕陽は沈む。輝いた後、必ず沈み……後は、闇になる。

暗くなった道を、あたしは帰るだけだ。



「あんた…好きなんでしょ」

麻美の言葉に、力強く頷いた。

あたしの体も、夕焼けによって…赤い。

夜は暗くなる。


あたしには、色がない。

まだ…何でも染まってしまう。


好きという色は、あるのだろうか。


「あたし…先に帰るね」

ダンスのレッスンを受けている麻美は、忙しい。

「うん…」

この渡り廊下に来るようになってから、一緒に帰ることは、なくなったけど、

いつも時間まで、ここにいてくれる。

それが、うれしかった。