黄昏に香る音色

恵子の体が、カウントを取ると、ゆっくりと、歌い出した。

まるで、

初めて歌う、少女のように。

戸惑い…

そして、喜び、

次第に、

震え、

嬉しさが溢れてくる。

この歌は、愛を知って、

女の子が、女になる歌。

だけど、

恵子は、

それ以上を、歌を通して、明日香に語りかける。


愛には、いろいろあるわ。

一途な愛。

幸せな愛。

悲し過ぎる愛。

一方通行な愛。

他人を傷つける愛。

押し付けがましい愛。

失した愛…。

これからの愛。

すべてが、

あなたを、成長させてくれるから…

決して、

愛することから、逃げないで。



恵子は歌いながら、苦笑したかった。

それは、あたしのことね。