黄昏に香る音色

電話番号は分からなかったけど、KKが解散する前に、演奏場所として建てた…

BARの住所を、ゲットすることができた。

ネットで検索すると…明日香の通う学校から、そんなに離れていないことが、わかった。



次の日。

授業の上の空で、家から持ってきたKKのCDを…机からチラッと出すと、下を見ては、

明日香は、軽い興奮状態になる。

我慢できない。

明日香は、授業がすべて終わると、

胸にCDを握り締めたまま、教室を飛び出した。

「明日香!どこ行くの!」

今日は、部活をさぼろうと考えていた里美をおいて、明日香は走り出した。

里美の声など、耳に入っていなかった。

廊下を駆け抜ける明日香は、慌てていた為、

角から出てきた生徒と、ぶつかりそうになる。

しかし、生徒は身軽な動きで、それをかわした。

「す、すいません!」

立ち止まり、頭を下げる明日香に、

生徒は微笑みながら、

「大丈夫」

と、一言だけ言った。

また頭を下げ、走り去っていく明日香の後ろ姿を、生徒は見送った。

「明日香!…って、もういない!」

追いかけて来た里美は、

見送っている生徒に気づいた。

「高橋くん…」